mypace-mywayのブログ

未熟なりに弓道を考えて、わかりにくい事を単純にし、自分の頭の中を整理した道筋を残しながら、迷った時に戻って来る拠り所の場所を作ってみたい。「あの頃はあんな事を考えていたのか?」

虎口の皮を巻き込む

手の内の指導の時に虎口の皮を巻き込むという言葉は馴染みが有るでしょう。私の主観から「巻き込む」場合と「巻き込まれる」場合を親指を起こす事と絡めて進めていくのが今回の主旨です。

弓構えで「手の内は天文筋を外竹左にきちんと当て虎口の皮を巻き込む様に親指の付け根を内竹右に当てて構える」などと初心者教室で助言してきました。射法八節を覚えて弓を持ち始めた段階なので「角見」や「伸び合い」など考えないで無心に会へ引くのが目的です。この時に「弓は軽く握る」と言われても合点はいきません。「弓はしっかり持って足踏みの広さまで矢を引っ張って下さい。」となります。

「天文筋がずれない様に気をつけて弓を引きます」この辺りから親指中心の手の内への意識が始まります。弓の持ち方から弓への当たり方に変化してもらう事はかなり難関です。手の内を理解するには時間が掛かり、「手の内十年」なんて高尚な言葉を聞く時期でもあります。ですが、弓への当たりという出発点からの指導を検討してもその価値は高いと思っています。人差し指と親指(虎口)を自然に開いてもらい掌は垂直に立てて指導者が弓を持って虎口に押し付けてみます。その時には当てる弓の角度を少し変えてみては感触を覚えてもらいます。天文筋からずれない様に持って引いても弓は手の内の中で動いてしまう事も頭に入れてもらうと良いでしょう。弓を充分に引けなくても、弽ははめなくても自分で弦を引っ張って手の内の感覚を掴む練習は出来ます。ですが、手の内は難しいと思うあまり、取り敢えず「引く」に拘った指導をしている教室は多いと思います。教室の最後には的前で離れまでいって矢を飛ばすという行為に興味を持ってもらえば、入会した後にまた一から始めるパターンが多くなっていませんか?

もちろん手の内と離れはかなり高度な部分なので、元々数回或いは数十回で理解は出来ません。ただ、最初の感覚はかなり遅くまで尾を引くのも確かだと考えています。

弓道は形だけみても働きまで看取れる事は難しく、同じ様に見えても全く違う射は多いでしょう。

弓を持たなくても手の内の反対の右手の指で親指の付け根を押してみれば、何処を押せば親指は起きるか?弓を挟もうとしなくても人差し指と親指は閉じられる事など検証材料は多いです。どうせ力むのだから逆に何処を力ますべきなのか?意識に持ってもらうことはかなり大切だと考えています。「どうせわからない」と思わずに「いずれわかるから今は聞くだけ聞いといて」という指導は後々効果が上がると考えています。

弓道は教えてもらうだけでは上達しません。練習方法も色々です。同じ事を繰り返しての上達は望めないでしょう。手の内は難しいからこそ始めの印象は大切にしたいと思います。したがって、初心者教室の指導なら少し弓が引ければ誰でも出来るとはなりません。この事は結構軽く考えないで指導の方向性はきちんと統一するべきでしょう。私自身も称号者の方に「口でいくら説明しても無駄だから何回も弓を引いてもらえ」と苦言を頂いた事があります。ですが個人的には最初に付いた癖は後々まで尾を引くと考えています。射法は難解ですが、初心者にこそ大切な出発点だと思います。癖は付いたものを治すのではなく付けなくするに越したことはないでしょう。

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