弓構えの手の内と離れの手の内について
本来は弓構えのままとすれば何も変わりませんが、何もしないと言い切ってしまう事や実際に何もしない事は知識が頭に豊富な知識が有る程難しいです。
上達する為に何らかの目的を持って道場で練習する以上、色々考えて弓を引くでしょう。弓道に限らず現状よりも進歩する方法を常に意識している事は大切だからです。ただし、いつも同じ様に考える事を続けていると精神面でストレスが溜まります。頭で考える通りに自分の身体を動かせる様になるまでの感覚を身に付けるには長い基礎練習が必要です。
正しいと思われる方法で意識せずに動作するには経験に依る学びが基になると考えてください。
歩く事や走る事、日常の動作のほとんど無意識に出来ているのは小さい頃からの経験に依る積み重ねが覚えた感覚ですね。確かに歩く事1つ取っても個人差は有りますが、癖は持っていても意識レベルでは無心というイメージです。頭で考えて脳が命令して歩く動作をするなら、例え2〜3歩歩くにしてもぎこちなくなるでしょう。「手が決まる」までには長い経験が必要だからです。それぞれの癖が有ることを承知してもいちいち脳が命令して出来る範囲は限られます。
大切なのは、意識せずに動作出来るまでの経験を積む事です。基礎練習は面白いとは言えません。ゴム弓や巻藁前の練習ばかりしていても正直言って続かないでしょう。練習方法のサイクルを作ってください。基礎練習は常にするが、射位で成果を試す。まだ無意識に出来なければまた基礎練習をする。一回の練習にメリハリを付けてください。矢所が定まるまではこの繰り返しに依って上達すると考えてください。
極端な話し、箸で食べ物を挟んで口に運べるように弓を引ければ、最終的に伸び伸びと自分の射を展開出来ます。少しの辛抱と続ける意欲が持てれば上達しないとは考えられません。基礎練習の間は大変ですが、その積み重ねで成果を試す事を習慣的に行っていくことで進歩します。簡単に中たりを求めて的に向かうだけでは技の定着は出来ません。逆に不安定さを身に付けるだけの練習になってしまうでしょう。